恋愛映画を恋のお手本に>自分に正直、自分の心に嘘はつかない

“禁断の恋”の最後は、オフ・ブロードウェイ上演のゲイ作品。
同様の映画化作品に『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
(※『ヘドウィグー』については以下もご参照ください。
 http://eigadate.web.fc2.com/index/hedwig.html
がありますが、こちらはもっと現実的でありえそうな物語。
ヒューマンドラマとしても傑作な『トーチソング・トリロジー』。
舞台も映画も主演のH・ファイアスタイン原作の半自伝的戯曲です。

ニューヨークのナイトクラブで働く女装芸人のアーノルドはゲイ。
恋人のエドを愛していたが、エドは彼のことを恥ずかしいと思い、
しかもバイセクシュアルのため女性と結婚、アーノルドの元を去る。
それから数年後、アーノルドは若く純朴な青年アランと出逢い、
同棲を始める。2人は里親として孤児を育てる計画も立てるが…。

アーノルドはもう若くも美しくもない中年ゲイですが、
その内面は誰よりも純粋で、誰よりも深い愛情を抱いています。
差別を恐れゲイを隠す人が多い中、彼は親にもカミングアウト。
「自分の心に嘘はつかない」という生き方は、共感を誘います。
でも母は息子を理解できない。アーノルドが悲劇に見舞われた時、
そんな母の言葉が心に沁みます。「時が癒してくれるわ。
傷が消え去るわけではないのよ。傷はやがて指輪のように身体の
一部になる。傷があることに慣れてしまう。忘れるわけではないの」
たとえ周囲の理解が得られなくても、大きな哀しみがあったとしても、
真剣に人を愛し、正直に生きる事は価値あるものと教えてくれます。

トーチソング・トリロジー(1988/日本公開1989)アメリカ
監督/ポール・ボガート
主演/ハーヴェイ・ファイアスタイン/マシュー・ブロデリック

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